マレーシアで生活する日本人(個人)のための法的なアドバイス
第4回 日本人どうしの嫉妬に起因する法的問題

マレーシアに生活している日本人が、他の日本人を法的に陥れるという事例のいくつかを直接被害者から聞いた経験があり、なんと悲しいことかと感じました。

最初の事例は主婦の方の例です。その方は駐在員の奥さんで、非常に積極的な方で、日本人会の日本語クラスでボランティアの先生をしていました。ボランティアの先生には交通費が支給されていました。その交通費のことを、彼女の友達の日本人女性が税務署に訴えたのです。理由は「収入があるのに申告をしていない。」です。その結果、彼女は申告漏れのための罰金を税務署から取られました。そしてご主人からは「そんな目にあってまで、日本語を教えるな」と言われ、好きなボランティア活動も辞めざるを得なくなってしまいました。

その話を聞いて、なんと私は意地の悪い人がいるものかと思いました。交通費の正確な金額は忘れてしまいましたが、確か1回RM20くらいと思います。RM20の交通費のためにこの人は大変な目に遭ったわけです。この問題を法的にはどうなのかと検証してみますと、本来ならこれは収入ではないので、所得とは見なされず、罰金を払う必要はありません。交通費を支払っている日本人会からきちんと交通費であることを証明してもらえば、全く問題はないはずでした。しかし彼女は言い訳もせず、罰金を税務署に納めたのです。

ボランティアをしている人は、交通費をもらうことに、びくびくしてはいけません。交通費は労働の報酬として得られる所得ではありませんから、税金の対象とはなりませんので、もし嫌がらせを受けても堂々としていることをお勧めします。

もう1つの例は、ピアノの先生の例です。マレーシアに駐在の日本人の方の奥さんで音楽大学を出た方もたくさんいて、ピアノを自宅で教えている人が数名おります。日本人会のホールで合同発表会を開催したりしています。それはマレーシアの日本人の子供さんの音楽教育、情操教育の発展のためにとてもよいことだと思います。

しかしここにも嫉妬が介在してきて、困って相談に来られた方がいました。その方が言うには、「ある方から、自分は4人までと生徒を自粛しているのに、あなたは生徒を取りすぎている。すぐに生徒を減らしなさい。さもないとイミグレーションに不法就労で訴えますよ。」と言われたというのです。これは先生どうしの間の嫉妬です。4人まではよくて4人を越えるといけないという基準をマレーシアのイミグレーションが制定したという話は今まで聞いたことがありませんが、確かにこのピアノの先生は「4人までならOK」と言われたそうです。

法律的に言えば、主婦としてマレーシアに滞在している人が、自宅でピアノを教えて、授業料を取ることは厳密には法律違反と言えなくもありません。しかしマレーシア政府としては、日本人の先生がマレーシアの優秀な生徒を何百人も教え、それによってマレーシア人のピアノ先生の職場が奪われ、大変な損害を受けているということでもない限り、ピアノを自宅で日本人の子供たちに教えることに目くじらをたて、強制送還とかに及ぶことはまずありません。しかし誰かから通報があれば、捜査に踏み込む可能性もあります。

逆に言うと、通報さえされなければ問題になりません。通報されないためには、敵を作らないことです。4人まではOKと言った先生も、もし彼女が通報をし、その仕返しに、通報された先生が彼女のことを通報すれば同じく処罰の対象になるので、そんな軽はずみなことはしないと思います。

そんなにややこしいなら、ピアノなんか教えるのはやめようと思われる先生もいるかもしれませんが、それは日本人のコミュニティにとって大きな損失になりますので、邪魔や嫉妬に打ち勝って、ぜひ日本人の子供たちにピアノを教えていただきたいと私は願っています。