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マレーシアで生活する日本人(個人)のための法的なアドバイス 第7回 フルタイムの運転手の労働条件 日本で運転手を雇うということは、個人ではほぼ不可能ですが、マレーシアでは必要であれば個人でも運転手を雇うことができます。しかしマレーシアの交通状況は他のアジア諸国に較べて比較的安全なので、日本人本人でも運転することができるため、個人で運転手を雇っている人はほとんどいないと思います。(アジアではシンガポール、香港、マレーシア以外のほとんどの国で日本人本人が運転することはないと思います。)、しかし個人でも運転手を雇いたいという人のために、また会社で運手手を雇っている人のために、いくつかのアドバイスを書きたいと思います。因みに私はマレーシアで個人で運転手を雇っている数少ない日本人の1人です。私の場合、個人といっても、個人で会社をやっていて、その会社で運転手を雇っていますが、会社の支給ではなく、自分の懐から運転手に給料を払っているという意味で個人で雇っています。 マレーシアの運転手はメイドと違って、外国人ではなく、マレーシア人ですので、法的にはマレーシアの労働者の権利のすべてが適用されます。労働時間も1日8時間が原則で、週に1度の休日を与える必要があります。運転手の多くの基本給は1000リンギットから2000リンギットまでの間で、残業をすることで、運転手は生活の糧を確保していると言ってもよい状態です。ですから会社から支給されている運転手にもできるだけ残業のチャンスを与えてあげないと彼らは十分な所得が得られず、転職をする可能性が高くなります。因みに私の運転手は毎月基本給とほぼ同じ残業手当を受けているので、基本給の2倍を受け取っていることになります。 運転手を雇うにあたって、注意しなければならない点は、@欠勤や遅刻の際の対処、A交通違反、事故の際の対処、B自動車やカードなどの濫用 の3点だと思います。 @ 欠勤や遅刻の際の対処 これは私も個人的に非常に困っている問題です。私は運転手を雇い始めてから1人の人しか雇った経験がなく、比較が難しいのですが、年数だけは同じ運転手が7年働いてくれているので、彼の例から書かせてもらいます。私の運転手は、月曜日と祝日明けによく休んだり、遅刻したりします。これは7年間を通して変わらぬ現象なので、最近は金曜日の晩などには、必ず休み明けには休まないように言いますが、金曜日の晩に私が酔っ払って言い忘れると、月曜日に休んだり、遅れてきたりします。休日の間に遊びすぎて、疲れて出て来れないというのが原因です。私の場合、文句をいうだけで、何も処分をしないで7年間が過ぎてしまいましたが、もし彼が辞めて、他の運転手を雇うことになったら、いくつかのルールを作り、運転手に署名させ、それを破った場合の処分も決めたいと思っています。なぜ今できないのかというと、法的にも心情的にも、7年間もよしとされてきたことを、いきなりだめだと言い、厳しくすることは難しいからです。 運転手の仕事は雇い主が出掛ける時に運転をすることなので、雇い主がアポで出かける時に、運転手が来ていないということは、タクシーで言えば、予約していても、タクシーがその時間に来なくて、乗らなかったということと同じになります。タクシーなら乗らなければお金を払わないし、遅れて来たとしても、別のタクシーを使ったので、お金を払う必要がないのと同じ理屈で、運転手がその時間に遅れるということは、その日1日とか半日の仕事を放棄したと見なすことができます。それを本人に認識されることが大切です。また運転手の遅刻や欠勤によって、雇い主がアポに遅れるなどの多大な迷惑をこうむるということも運転手に認識させなければなりません。そして雇い主が不利益をこうむる行為が何度か繰り返されれば、その運転手は解雇されても当然というルールを運転手との間に確立する必要があります。運転手の遅刻や欠勤は、事務員や工場労働者の遅刻や欠勤とは性質が違い、遅刻や欠勤そのものが、直接雇い主に被害を与えるということを文書にして、運転手と交わすことで、遅刻、欠勤が度重なる運転手を解雇した時に、労働局に駆け込まれても、労働局に解雇が正当であると認めてもらうことができます。 A 交通違反、事故の際の対処 運転手が運転中に起こした交通違反や事故は、法的には運転手の責任になります。しかしそれを逃れようとしたり、罰金を払わなかったりした時、またどこまで運転手に損害の賠償を求めるかについて規定を作って、運転手から署名をもらっておく必要があります。たとえば罰金を支払わなかった時には、給料から天引きするなどです。 B 自動車やカードなどの濫用 運転手が自分のために雇い主の自動車を使ったり、運転手に雇い主の自動車のためのガソリンの給油カードや「タッチ&ゴー」などのカードを自分や家族や友人のために使ったりすることは多々発生します。私の運転手も私が日本へ行っている間に私の車を使おうとして、私の家に来ましたが、私がハンドルにロックを掛けていたので、使えずに帰ったということがありました。どんなに信頼できると思っている運転手でも、そのようなことはやるものです。それを防ぐには、カードは雇い主が持ち、必要な時に運転手に渡すとか、車は使わない時には、特別な鍵を掛けるなどをする必要があります。 そんなに面倒くさいのなら、運転手など雇わない方がいいと思われる方も多いと思います。しかし運転手がいれば、飲酒をした後に確実に家に送り届けてくれますし、アポで出掛る時に、正確な場所を自分が知らなくても気をもむ心配もありませんし、駐車場を探す必要もありません。いいことはたくさんあります。しかし機械を雇うのではないので、人間としての問題は起こりますし、それも言葉や習慣の違うマレーシアの人を雇うので、さらに難しいとは思いますが、運転手との間にきちんとした規則を作り、よい人間関係を築けば、快適なマレーシア生活が送れるようになると思います。 |