マレーシアで生活する日本人(個人)のための法的なアドバイス
第10回 セカンドホーマーが受け取れる役員報酬

「マレーシアで退職後の人生を過ごしませんか?」というキャッチフレーズで日本人や欧米人を対象に始めた「シルバー・ヘアー・プログラム」が、数年前から「マレーシア・セカンド・ホーム・プログラム」に拡大して、退職後の人でなくても、マレーシアでのんびりと人生を過ごしたいという人に対象が拡大されました。

マレーシア政府の意図は、働く必要のない日本人や欧米人、つまり年金のような定収入が自国で確保されている人にマレーシアに住んでもらい、のんびり暮らしてもらおうということです。その意図からするとセカンドホームで来た人がマレーシアで労働をして収入を得ようとすることは、政府の目から見れば「外国人の不法行為」に他なりません。ですからセカンドホーマーになる人は最初から「収入を得るために働く」ということは考えるべきではありません。

時々「セカンドホーム・ビザ」を隠れ蓑にして働こうとしている日本人がいて、私のところにも相談に来ます。このような人はマレーシア政府の日本人に対する好意を仇で返すようなものです。そのような人がきますと、私はきっぱりと「そのような不法行為はやめてください」と言うことにしています。マレーシアで働いて収入を得たいのでしたら、会社に勤めるか、会社を自分で作って、きちんとエンプロイメント・パスを取得して、堂々と働くべきです。外国に来て、その法律に従わないのは、日本で問題を起こしている外国人たちと全く変わらない「歓迎されない外国人」です。

マレーシア政府は、セカンドホーマーが会社の取締役になることは禁じていません。しかし毎日会社に出勤する常勤の取締役ではなく、非常勤の取締役になることのみを許しています。常勤と非常勤の違いは何かというと、第1に、常勤の取締役は、取締役でありながら、その会社の従業員でもあり、従業員として毎月給料をもらっていることです。それに対して、非常勤の取締役は法律上、その会社の従業員ではなく、毎月の給料はもらいません。第2に、常勤の取締役は原則として毎日会社に出勤し、日常業務を行いますが、非常勤の取締役は、通常は取締役会に出席し、その席上で会社の運営に対して大所高所から意見をいい、また会社がその非常勤の取締役の持っている知識や経験、人脈を必要とする時に、常勤の社員にアドバイスをしたり、協力したりします。

では非常勤の取締役の報酬は?といいますと、会社によって違いますが、年に1度の年次株主総会で決められた額を1年1回受け取るのか、またそれを毎月とか4半期とか何度かに分けてもらう形になります。

そのような非常勤の取締役にはセカンドホーマーはなることができ、取締役としての報酬を受け取ることも可能です。もちろん取締役報酬に対しての税金を申告し、それを支払う義務はあります。

しかしせっかくマレーシアにのんびりするために来たのですから、取締役になって報酬を得ようとかと考えるのはやめて、趣味やスポーツ、文化活動、できるならボランティア活動や地元の人の交流などに時間を使って欲しいと思います。